美容室の開業を検討されている方にとって、内装工事の坪単価は最も気になる費用の一つではないでしょうか。
「一体どのくらいの予算を見込んでおけばよいのか」「相場より高く請求されていないか」といった不安を抱えている方も多いはずです。
この記事では、2025年最新の美容室内装の坪単価相場から、費用を左右する要因、コストを抑える実践的な方法まで、開業成功に必要な情報を網羅的にお伝えします。
物価高騰の影響を受けている現在の市場状況も踏まえ、賢い予算計画を立てるためのポイントを詳しく解説していきます。
目次
美容室の坪単価の基本相場【2025年最新版】
2025年現在の美容室内装工事における坪単価は、30万円〜70万円が一般的な相場となっています。
この相場は、物件の状態や内装のグレード、設備の充実度によって大きく変動します。
美容室の坪単価が他業種より高い理由
美容室の坪単価が他の店舗業種と比較して高めに設定される理由として、まず給排水設備工事の必要性が挙げられます。
シャンプー台設置に伴う配管工事は専門性が高く、費用がかさむ要因となっています。
また、ドライヤーやパーマ機器用の専用配線といった電気設備の複雑さも坪単価を押し上げる要因です。
さらに以下の要素が美容室特有のコスト要因となっています。
- 薬剤使用に対応した強力な換気システムの設置
- 保健所基準を満たす衛生設備への対応
- 水回り工事における防水処理の徹底
- 電気容量の大幅な増設工事
2025年の美容室坪単価トレンド
2024年から2025年にかけて、建築資材の価格高騰により内装工事費は上昇傾向にあります。
特に以下の要因が坪単価に大きな影響を与えています。
- セメント価格：前年比+23.3%増
- 生コンクリート：前年比+10.4%増
- 内装資材全般：2024年12月より各メーカーが値上げを実施
- 人件費の上昇：職人不足による労務単価の増加
このような状況から、早期の工事着手が費用削減につながる傾向にあります。
美容室の坪単価を左右する重要要因
美容室の内装工事費用に大きく影響する要因を詳しく見ていきましょう。
設計デザインのグレード
内装デザインのこだわり度合いによって坪単価は大幅に変動します。
シンプルデザインの場合は30万円から40万円程度の坪単価で抑えることが可能です。
スタンダードデザインでは40万円から55万円程度となり、一般的な美容室のグレードとして最も選ばれています。
ハイグレードデザインを選択した場合は55万円から70万円以上の坪単価となり、高級サロンとしてのブランディング効果が期待できます。
美容室専用設備の充実度
美容室特有の設備投資が坪単価に大きく影響します。
基本設備レベルでは以下が必要となります。
- シャンプー台（1台あたり30万円〜80万円）
- セット面（1面あたり10万円〜30万円）
- ミラー設備（1面あたり5万円〜15万円）
付加設備として高級シャンプー台や特殊照明、音響システムを導入する場合、より高い顧客満足度を実現できる一方で坪単価は上昇します。
最新設備では以下のような投資も検討されています。
- デジタルミラー（1面あたり20万円〜50万円）
- 自動シャンプー機（1台あたり200万円〜400万円）
- 空気清浄システム（全体で50万円〜150万円）
立地条件による工事難易度
物件の立地や建物の特性も坪単価に影響を与える重要な要素です。
高層階物件の場合は以下の追加コストが発生しやすくなります。
- 搬入費用の増加（エレベーター使用料、クレーン作業費）
- 特殊作業料金の発生（高所作業、安全対策費）
- 工期延長による人件費増（作業効率の低下）
一方、1階路面店の場合は標準的な工事費用で済み、搬入作業の効率化や工期短縮によるコスト削減効果が期待できます。
物件タイプ別の美容室坪単価比較
物件の種類によって美容室の坪単価は大きく異なります。
それぞれの特徴と費用相場を詳しく比較していきます。
居抜き物件の美容室坪単価
坪単価相場：30万円〜40万円
居抜き物件は前テナントの設備をそのまま活用できるため、最も費用を抑えられる選択肢です。
主なメリットとして以下が挙げられます。
- 初期投資の大幅削減（通常の50%〜70%程度）
- 工期の短縮（通常の半分程度）
- 既存設備の有効活用による環境負荷軽減
ただし注意点として、設備の老朽化リスクやレイアウト変更の制約があるため、事前の詳細な調査が重要です。
また、保健所基準への適合確認も必要となり、場合によっては追加工事が発生する可能性もあります。
スケルトン物件の美容室坪単価
坪単価相場：40万円〜70万円
スケルトン物件は自由度が高い反面、すべての設備を新設する必要があります。
工事内訳の詳細は以下の通りです。
| 工事項目 | 坪単価 | 内容 |
|---|---|---|
| 解体工事 | 5万円〜10万円 | 既存設備の撤去、産廃処理 |
| 給排水工事 | 8万円〜15万円 | 配管設置、防水処理 |
| 電気工事 | 6万円〜12万円 | 配線、分電盤、照明設置 |
| 内装仕上げ | 15万円〜25万円 | 床材、壁材、天井仕上げ |
| 設備機器 | 6万円〜15万円 | 空調、換気、音響設備 |
新築物件の美容室坪単価
坪単価相場：35万円〜60万円
新築物件は建物が新しいため、基本的な設備工事費用を抑えられる場合があります。
新築物件の特徴として以下が挙げられます。
- 配管工事の事前調整が可能
- 最新の建築基準に適合済み
- 長期的なメンテナンス費用の削減効果
- 構造的な制約が少ないレイアウト設計
規模別の美容室坪単価と費用目安
美容室の規模によって坪単価と総費用がどのように変化するかを見ていきます。
小規模美容室（10坪以下）の坪単価
坪単価：50万円〜70万円
総費用目安：500万円〜700万円
小規模美容室では設備の単価が相対的に高くなる傾向があります。
これは固定費的な要素が多いためで、例えば分電盤工事や基本的な配管工事は規模に関わらず一定の費用が必要になるからです。
| 項目 | 費用目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 基本内装工事 | 150万円〜250万円 | 床材、壁材、天井、基本造作 |
| 美容設備 | 100万円〜150万円 | シャンプー台、セット面、ミラー |
| 家具・インテリア | 50万円〜100万円 | 待合家具、収納、装飾品 |
| 空調・照明等 | 50万円〜100万円 | エアコン、照明、音響設備 |
中規模美容室（15坪〜20坪）の坪単価
坪単価：40万円〜60万円
総費用目安：800万円〜1400万円
最も一般的な美容室の規模で、コストパフォーマンスに優れています。
設備配置の標準的な例は以下の通りです。
- セット面：4席〜6席（効率的な動線確保）
- シャンプー台：2台〜3台（待ち時間の最小化）
- 待合スペース：4席〜6席（快適な待機環境）
- その他：スタッフルーム、トイレ、収納完備
この規模では設備投資の効率性と運営のしやすさのバランスが取れており、多くの成功事例があります。
大規模美容室（25坪以上）の坪単価
坪単価：35万円〜55万円
総費用目安：1000万円〜2000万円以上
大規模になるほど1坪あたりのコストは抑えられる傾向にあります。
コストメリットの要因として以下が挙げられます。
- 設備の大量導入による単価削減効果
- 工事効率の向上（まとめて作業することによる効率化）
- 管理費用の分散効果（監督費、諸経費の按分）
- スケールメリットによる資材調達コストの削減
美容室の坪単価を抑える実践的な方法
予算を効率的に活用し、美容室の坪単価を抑えるための具体的な手法をご紹介します。
居抜き物件の積極的活用
美容室の坪単価を最も効果的に抑える方法は、前美容室の居抜き物件を選択することです。
節約効果の具体例は以下の通りです。
- 内装工事費：30%〜50%の削減
- 工期短縮：2週間〜4週間の短縮
- 初期投資削減：200万円〜500万円の圧縮
居抜き物件選定時の重要チェックポイントとして、給排水設備の状態確認と電気容量の十分性は必須です。
また、保健所基準への適合状況とレイアウトの汎用性も重要な判断材料となります。
相見積もりによる適正価格の把握
複数の業者から見積もりを取得し、美容室の坪単価を比較検討することが重要です。
効果的な見積もり取得のコツは以下の通りです。
- 最低3社以上からの取得（比較検討の精度向上）
- 同一条件での比較（公平な判断のため）
- 詳細な工事内容の確認（隠れたコストの発見）
- アフターサービスの比較（長期的な安心感）
補助金・助成金の活用
自治体や国の支援制度を活用することで、実質的な坪単価を削減できます。
主な支援制度の概要は以下の通りです。
- 小規模事業者持続化補助金：上限50万円（広告宣伝費等に活用可能）
- 創業支援補助金：自治体により異なる（内装費の一部補助）
- IT導入補助金：デジタル機器導入時（POSシステム等）
- 地域活性化補助金：地方自治体独自の制度
美容室の坪単価で失敗しないための業者選び
適正な坪単価で質の高い美容室を実現するための業者選定ポイントを解説します。
美容室専門業者の重要性
美容室特有の要件を理解している専門業者を選ぶことが成功の鍵となります。
専門業者のメリットとして以下が挙げられます。
- 保健所基準への精通（許可取得のスムーズな進行）
- 美容設備の設置ノウハウ（最適な配置とメンテナンス性）
- 効率的な動線設計（スタッフの作業効率向上）
- 適切な換気システムの提案（薬剤使用環境への対応）
一般的な内装業者では対応が困難な美容室特有の課題も、専門業者なら的確に解決してくれるでしょう。
実際に施工した美容室を見学させてもらえる業者であれば、より安心して依頼できるでしょう。
契約前の重要確認事項
美容室の坪単価に関する契約トラブルを避けるための注意点です。
契約書で確認すべき内容として以下があります。
- 工事範囲の詳細記載（曖昧な表現を避ける）
- 追加工事の条件と費用（変更時の対応方法）
- 工期と遅延時の対応（開業スケジュールへの影響）
- 保証期間とアフターケア（不具合発生時の対応）
- 支払い条件と方法（資金繰りへの配慮）
見積書のチェックポイントとして以下も重要です。
- 材料費と工事費の内訳（透明性の確保）
- 諸経費の詳細（適正性の判断）
- 予備費の設定（想定外費用への備え）
- 変更時の対応方法（柔軟性の確保）
まとめ
美容室の坪単価は2025年現在、30万円から70万円が相場となっており、物件タイプや内装グレードによって大きく変動します。
居抜き物件の活用や相見積もりの実施、補助金の活用により、コストを効率的に抑えることが可能です。
成功する美容室開業のためには、単純な坪単価の安さだけでなく、美容室専門の実績を持つ信頼できる業者選びが何より重要になります。
この記事でご紹介した情報を参考に、理想の美容室を適正な予算で実現してください。
事前の情報収集と計画的な予算管理により、必ず満足のいく美容室開業が実現できるはずです。
