チャットGPTアプリはどれが本物か？安全な見分け方を徹底解説完全ガイド

「チャットGPTって、アプリ多すぎてどれが本物か分からない」──この段階で迷っている時点で、すでに二つのリスクが動き始めています。
一つは、本来無料〜数千円で済む範囲を、知らないうちに“高額サブスク”に変えられている可能性。もう一つは、会社や家族には言いづらい「ITリテラシーの穴」を、自分でも気づかないままさらしている可能性です。

問題は、「偽物を入れてしまうこと」そのものではありません。
本当に怖いのは、

• 公式ストア経由だから安心
• 星4.5でレビューも多いから安全
• 日本語タイトルだから問題ない

と判断し、数週間〜数ヶ月、気づかないまま課金や情報提供を続けてしまう構造です。ここを断ち切らない限り、アプリを入れ直しても同じ罠に引っかかります。

この記事の目的はシンプルです。

1. 「本物のChatGPTアプリはどれか」を、ストア画面の数カ所を見るだけで即断できるようにすること
2. 偽物アプリの“行動パターン”と、自分がその流れに乗せられていないかを、今日のうちに点検できるようにすること

そのために、前半では「公式アプリのラベル」と「偽物のテンプレ行動」を、スマホの画面レベルまで分解します。
後半では、すでに入れてしまったかもしれない人向けに、今すぐ確認・解約・防御を完了させる実務フローと、今後一生使える判断軸をまとめます。

この記事を読み終える頃には、

• どの端末でも「これは本物」「これは高額ビジネス寄り」と数秒で仕分けできる
• もし既に怪しいアプリを入れていても、今日中に金銭・アカウントの被害を最小限で止める手順が分かる
• 自分だけでなく、家族や同僚に「この基準で選べば安全」と説明できる

という状態になります。

このあと登場するチェックリストとケース解剖は、一般論ではなく、実際に問題になったパターンを抽出して再構成したものです。
「なんとなく不安」を放置すると、気づかない支出と信用リスクが積み上がります。数分で読み切り、今日のうちにアプリ周りを一掃しておいてください。

「チャットGPTアプリどれが本物？」と不安になる瞬間を、まず言語化しよう

App StoreやGoogle Playで「chatgpt」と打った瞬間、同じようなアイコンと名前のアプリがズラッと並ぶ。ここで多くの人が一度、手を止めます。

「上から順に入れればいいのか？」
「無料って書いてあるけど、裏で高額課金されない？」
「会社で“ChatGPT便利だよ”って聞いたのに、最初からつまずきたくない」

このモヤモヤの正体は、「ITに弱いと思われたくない気持ち」と「お金をムダにしたくない気持ち」が同時に動いている状態です。実際、Sophosが報告したFleeceGPT型アプリでは、年数百ドルレベルのサブスク請求になったケースもあり、「間違えると本当に財布が痛む」領域になっています。

不安の正体は「偽物そのもの」よりも「気づかないまま課金し続ける怖さ」

多くの相談を聞いていると、ユーザーが本当に怖がっているのは「ウイルス」よりも「知らないうちにお金と情報が漏れていく状態」です。

よくある流れは、この4ステップです。

1. ストア検索で上位の“AIチャット”アプリをなんとなくインストール
2. 「3日間無料」などのポップアップに流されて指紋認証で登録
3. しばらく使ってみて微妙→放置
4. 数カ月後、カード明細で「毎週2,000〜3,000円」の請求に気づく

ここで厄介なのは、「入れた瞬間には何も起きない」ことです。だからこそ、“気づかないままダメージだけ積み上がる”構造が、ChatGPT偽アプリの一番いやらしいポイントになります。

この不安を潰すには、「どれが本物か」を知るだけでなく、「おかしな課金の仕組みを最初から見抜く視点」を持つことが重要です。

よくある勘違い3つ：「公式ストア=安全」「星4.5以上=本物」「日本語なら安心」

現場で本当によく出てくる思い込みを、先にひっくり返しておきます。

この3つを信じたままストアを見ると、偽物アプリが「安全そうな顔」をして近づいてきます。逆に言えば、この勘違いを手放した瞬間から、ストアの景色がまったく違って見えるようになります。

次のセクションでは、「本物のChatGPTアプリはこれだけ」と言い切れる根拠を、ストア画面の“どこを見るか”というレベルまで分解していきます。

本物のChatGPTアプリはこれだけ：ストア画面の“ここ”を見れば迷わない

「ストアで“ChatGPT”と検索したら、似たようなアイコンがズラッと出てきて固まった」──多くの人が最初にぶつかる壁はここです。
安心していいのは、本物は実は“条件が1つしかない”ということです。

本物と断言できるスマホアプリは、次の1本ずつだけです。

iPhone版・Android版それぞれの「本物のラベル」を画面イメージで分解する

ストア画面で確認すべき“ラベル”を、文字でそのまま再現します。

ストアで検索したら、アプリ名と開発元の行を指でなぞって声に出して読んでください。
「ChatGPT / OpenAI」以外なら、その時点で候補から外すのが安全です。

開発元・アイコン・アプリ名…プロが必ずチェックする3点セット

セキュリティ現場で“3秒チェック”として使っているのがこの3つです。

• アプリ名：余計な単語がついていないか

  例「ChatGPT日本語版」「Chat GBT AIチャット」などは公式ではない

• 開発元(OpenAI表記)：Open AI, OpenAI Inc.など“微妙に違う表記”も注意

• アイコン画像：黒系背景＋白い六角形の結び目ロゴ以外は要警戒

この3点のうち1つでも違和感があれば、そのアプリはブラウザで名前を検索して裏を取る。これだけで、大半の偽物アプリを事前に避けられます。

Web版・デスクトップ版を含めた「公式ルート」の全マップ

公式ルートは「URLがすべての起点」です。怪しいショートカットや非公式アプリに迷い込まないために、スタート地点を固定しておきましょう。

コツは、「必ずchatgpt.comから辿る」と決めてしまうことです。
検索結果やSNS広告から直接アプリやソフトを落とさないだけで、リスクは一気に下がります。

偽ChatGPTアプリの“テンプレ行動パターン”を暴く：業界で実際に問題になったケース

「無料っぽいし、とりあえず入れてみるか」
ここから、財布とデータがじわじわ削られていくのが偽ChatGPTアプリのパターンです。

無料お試しのつもりが「週3,000円レベルのサブスク」に化ける仕組み

セキュリティ企業Sophosが「FleeceGPT」と名付けた偽アプリ群は、課金の“タイミング”と“見せ方”を徹底的に突いてきます。

1. インストールは無料、画面もそれっぽい
2. 3回ほど質問すると「高品質AIを無制限で使うにはPro版へ」とポップアップ
3. 「3日間無料トライアル」「今だけ割引」と表示し、指1本でサブスク登録
4. トライアル終了後、自動で週3,000円前後の高額課金に切り替え

ポイントは、「Proにしないとまともに使えない」状態まで無料部分を削っていることです。
公式のChatGPTは基本無料で使えるので、「少し触っただけで有料登録を急かす」時点で赤信号と考えた方が安全です。

FleeceGPT型アプリがやりがちな4つの動き（広告・機能制限・急な請求・解約のわかりづらさ）

Sophosや海外メディアのレポートを整理すると、怪しいアプリはほぼ次の4ステップで攻めてきます。

1. 広告攻めでストレスを蓄積

   • 質問するたびにフルスクリーン広告
   • 広告を消さないと回答が見られない

2. 無料版の機能を極限まで制限

   • 1日の質問回数が2〜3回に制限
   • 日本語入力ができない、履歴保存ができないなど

3. 急に出てくる高額サブスク画面

   • 「月額」ではなく「週額」で3,000円級
   • 小さな文字で自動更新の説明

4. 解約への導線が不自然にわかりづらい

   • アプリ内に「解約ボタン」が見当たらない
   • 実際には「ストアのサブスクリプション設定」でしか解約できない

この流れに一度乗ると、使っていないのに毎週お金だけ取られる状態が続きます。
「広告多すぎ」「無料だと全然使えない」と感じた瞬間が、身を引くラストチャンスです。

セキュリティレポートから見える「アプリ名・説明文」の共通パターン

偽ChatGPTアプリは、ストアの検索結果でいかに“それっぽく”見せるかに命をかけています。SophosやTechCrunchが取り上げた事例を並べると、アプリ名と説明文にかなりの共通点があります。

特に「ChatGPT」の4文字がそのまま入っていない微妙な言い換えは要注意です。
公式アプリは単純にアプリ名が「ChatGPT」、開発元が「OpenAI」だけなので、変な飾り文句が増えた瞬間に一歩引いて確認しましょう。

「最初は順調だったのに…」偽物アプリでハマりがちなリアルシナリオ解剖

最初の1週間は「便利じゃん」と感じるのに、1ヶ月後にカード明細を見て血の気が引く。このパターンが、偽ChatGPTアプリで一番多い落とし穴だと現場で感じている。Sophosが報告した“FleeceGPT”型アプリも、まさにこの構図でユーザーの財布を狙っていた。

共通するのは、どのケースも「最初は本物かどうか真剣にチェックしていない」ことだ。

ケース1：ランキング1位の“AIチャット”を入れてしまった会社員の1ヶ月

営業職の30代会社員を想像してほしい。通勤中に「チャットgpt アプリ どれが本物」と検索しつつ、同時にApp Storeも開いている。

1週目

• ストアのランキング1位に出てきた「AI Chat – GPT助手（仮）」をそのままインストール

• 「3日間無料トライアル」と表示され、深く考えずに承認

• 日本語UIで返答もそれなりに賢く、「まあこういうものか」と満足

2～3週目

• 仕事が忙しくなり、アプリをほとんど開かなくなる

• サブスク継続の通知メールは埋もれ、確認しない

4週目

• クレジットカード明細で「週2,800円×4回」の請求に気づき、ようやく異常を認識

• 調べてみると、OpenAI公式のChatGPTはアプリ自体は無料、Plusでも月額数千円レベルだと知り、ショックを受ける

このケースで致命的だったのは、開発元と料金体系を一度も確認していない点だ。プロの目線で見ると、ストア画面だけで次の違和感に気づける。

ケース2：英語が不安で「日本語で一番上」のアプリを選んだ結果どうなったか

次は、ITが得意ではない事務職のユーザー像だ。英語が苦手で、「OpenAI」「official」といった単語だけでも身構えてしまうタイプ。

• 「日本語 ChatGPT 無料」と検索

• ストアで日本語タイトルのアプリがずらっと並び、「完全日本語対応」と書かれたものを選択

• アプリ内課金の画面も日本語で安心し、細かい金額を見ずに同意

• 実態は、無料版は1日1回しか質問できず、途中から「無制限モード 月額4,800円」を半ば強制的に案内

• 後から、ブラウザで公式サイト(chatgpt.com)にアクセスすれば、同じレベルの対話が無料で使えると知って後悔

セキュリティレポートでも指摘されている通り、「日本語対応＝安全」ではない。言語より開発元と課金単価を優先して確認するのが現場で勧めるルールだ。

どこで“おかしい”と気づけたか？プロ視点でチェックポイントを再現

どちらのケースも、実はインストール前と初回起動のわずか数十秒でブレーキを踏めた場面がある。プロなら、以下の順に目を走らせる。

• アプリ名とアイコン

  • 「ChatGPT」そのものか、余計な単語がついていないか
  • ロゴがOpenAI公式の六角形マークかどうか

• 開発元名

  • 「OpenAI」以外なら、まずは候補から外しブラウザ版で様子を見る

• 料金表示

  • 週額表示が出た時点で一旦ストップ
  • 「無料トライアル終了後の金額」「期間」を必ず読む

• 説明文とレビュー

  • 短い日本語レビューに星5が異常に多い場合、偽レビューの可能性を疑う
  • 説明文が「No.1」「世界最強」など宣伝過多で、具体的な機能説明が薄いものは避ける

この4ステップだけでも、Sophosが報告したFleeceGPT型アプリの多くは事前にはじける。
「なんとなく有名っぽいから」「ランキング1位だから」という直感を、「開発元」「料金」「説明文」という3つの事実ベースのフィルターに置き換えることが、偽物アプリから財布とデータを守る最短ルートになる。

公式アプリと偽物アプリを一発で見分ける「逆算型チェックリスト」

「ストアで“ChatGPT”と検索したら似たアイコンがズラッ…」
ここから迷子にならないために、上から順にYES/NOをたどるだけの逆算チェックを置いておきます。

1問目でふるい落とす：開発元・料金・問い合わせ先の“3秒チェック”

最初の3秒で見るのは、見た目ではなくラベル情報です。

• 開発元が「OpenAI」になっているか（Androidは「com.openai.chatgpt」）

• アプリ名がシンプルに「ChatGPT」か（余計な装飾ワードが付いていないか）

• インストールは無料で、料金表示が「アプリ内課金」「サブスク1つ程度」に収まっているか

• ストアのサポートURLが「https://chatgpt.com」や「https://openai.com」配下か

この4点のどれかが崩れていたら、その時点で本命レースから除外して構いません。

2問目以降：サブスク条件・評価グラフ・レビュー文面の「違和感サイン」

3秒チェックを通過しても、ここからが本当の選別です。次は「お金」と「空気感」を見る番です。

• サブスク条件

  • 週額2,000〜3,000円クラスの料金が並んでいないか
  • 無料トライアルの後、急に高額プランへ自動更新しないか

• 評価グラフ

  • 星5が異常に多く、星1〜2が不自然に少なすぎないか
  • 最新バージョンだけ評価が急落していないか

• レビュー文面

  • 日本語なのに機械翻訳っぽい表現が多くないか
  • 「課金したのに全然使えない」「解約の場所が分からない」といった警告レビューが埋もれていないか

違和感が1つ見つかったら、そのアプリに自分のクレカ情報を預ける価値があるかを一度立ち止まって考えたほうが安全です。

ここに1つでも当てはまったら要注意、というNGパターン集

最後に、「これが見えたら即バック」が分かるNGサインをまとめます。

• アプリ名に「ChatGPT」を入れつつ、開発元がOpenAIではない

• 週額・月額サブスクが複数並び、しかも金額が公式のChatGPT Plusより高い

• 説明文で「公式」「本物」と自称しているが、OpenAIや公式サイトへのリンクがない

• 無料プランはほぼ操作できず、すぐに課金画面へ飛ばされる

• 星5レビューが短文の褒め言葉で埋まり、星1にだけ具体的な被害が書かれている

このどれか1つでも当てはまれば、ブラウザで「https://chatgpt.com」を開き、**Web版からログインして様子を見る**ほうがはるかに安全です。アプリは「本物と確信できたものだけ」に絞る、これが現場で事故を減らす一番シンプルなルールです。

もし偽物っぽいアプリを入れていたら：今日中にやるべき5つのステップ

「これ、本物のChatGPTアプリだと思って入れたけど…ちょっと不安」。その違和感に気づけている時点で、まだ間に合います。今日中にやるべきことは、次の5ステップです。

1. アプリの真偽確認
2. アンインストール＋設定チェック
3. サブスク・課金の洗い出し
4. パスワード・端末・クレカのセキュリティ点検
5. 必要なら相談窓口にエビデンスを揃えて相談

この流れを押さえておけば、FleeceGPT型の高額サブスクや情報漏えいリスクを最小限に抑えられます。

①アンインストールだけでは不十分な理由と、必ずセットで行うべき設定確認

偽物アプリの多くは、「アプリ本体」よりも「設定と契約」側に地雷を仕込んでいます。アンインストールだけで安心してはいけない理由は3つあります。

• サブスクリプションはアプリ削除後も継続課金される

• 外部ログイン（Google / Apple / メールアドレス）の権限が残る

• 通知・バックグラウンド更新でデータ送信が続く可能性

最低限、次をセットで確認してください。

• iPhone / Androidの「サブスクリプション」「定期購入」画面

• Apple ID / Googleアカウントに紐づくアプリ連携権限

• 通知・バックグラウンド通信・モバイルデータの許可設定

怪しいChatGPTアプリだった場合、「アンインストール＋権限・契約のリセット」までやって初めて、実質的なアンインストール完了です。

②サブスク・課金履歴の洗い出しと「解約の抜け漏れ」を防ぐコツ

Sophosのレポートでは、週額3,000円近いGPT系サブスクが「無料トライアル」と誤認され、年間数万円〜数十万円レベルの請求になったケースが報告されています。抜け漏れを防ぐには、「アプリ側」ではなく「ストア側」から逆算するのが確実です。

• App Store / Google Playの購入履歴・定期購入一覧を月単位で確認

• 「AI」「ChatGPT」「チャット」など、名前でフィルタして怪しい項目を洗い出す

• 無料期間付きサブスクは、終了日をカレンダーやタスク管理に必ず記録

怪しい項目を見つけたら、その場で解約し、スクリーンショットを証拠として保存しておくと、後の返金交渉や相談がスムーズになります。

③パスワード・クレカ・端末の安全性を取り戻すセキュリティ点検フロー

偽物GPTアプリは、チャット機能そのものより「入力された情報」「ログイン情報」に価値を置いているケースが多いです。落ち着いて、次の順番で“安全性のリセット”をかけます。

1. ChatGPT本体やOpenAIアカウントで同じパスワードを使っていた場合

   • すぐにパスワードを変更
   • 可能なら二要素認証を有効化

2. 他サービスと同じパスワードを使い回していた場合

   • 銀行、ECサイト、仕事用メールなど、優先度の高い順に変更
   • パスワードマネージャー導入も検討

3. クレジットカード情報をアプリ内で入力していた場合

   • カード会社の明細を直近3カ月分チェック
   • 覚えのない「AIチャット」「GPT」などの請求がないか確認
   • 必要に応じてカード再発行を依頼

4. 端末自体の安全性チェック

   • 信頼できるセキュリティアプリでフルスキャン
   • OSとアプリを最新バージョンにアップデート

このフローを一気に行うと、「どこまで守り直したか」が自分でも把握しやすくなります。

相談窓口に投げるときに、最低限まとめておくべき情報リスト

「これ以上自分で判断するのは怖い」と感じたら、カード会社や携帯キャリア、ITサポート窓口に早めに相談します。その前に、次の情報を整理しておくと、話が一発で通じます。

このリストをテキストメモやメール下書きにまとめておくだけで、「状況説明に時間を取られて、肝心の対策が進まない」というストレスを減らせます。ChatGPTアプリは本来、仕事効率や学習を加速するツールです。不安を放置せず、今日のうちに安全性を取り戻しておきましょう。

「公式ストアだから安心」はもう古い：ストア審査の“盲点”と生き残る高額アプリの裏側

なぜ偽ChatGPTアプリが堂々とランキング上位に出てこれたのか

「App Storeにある＝安全」「Google Playの上位＝本物」
この“昭和の常識”が、2023年以降は普通に裏切ってきます。

セキュリティ企業Sophosが報告したFleeceGPT系アプリは、どれも公式ストア経由で配布され、ランキングやおすすめ欄に出ていたものです。仕組みは単純で、

• 名前に「ChatGPT」「AIチャット」を含める

• アイコンをOpenAI風に寄せて公式感を演出

• インストール直後に「3日間無料」などのトライアルを表示し、週3,000円レベルの高額サブスクに自動移行

という流れです。
ストア審査は「マルウェアかどうか」には比較的強い一方で、「料金が割高か」「ユーザー体験がひどいか」には本質的に弱く、“高額で中身スカスカ”は通過しやすいゾーンになっています。

ストアの順位ロジックも、短期的なインストール数と売上が強く効くため、「広告でユーザーを集めて短期間に課金を回収する」タイプのアプリが一時的に上位に躍り出ることは十分あり得ます。

星5レビューが大量についているのに「中身スカスカ」なアプリのからくり

現場で一番タチが悪いのは、レビューと実態がまったく一致していないパターンです。典型的な動きは次の通りです。

• ローンチ直後に、海外アカウントを中心に星5レビューがどっと付く

• レビュー文は「Great app」「Nice AI chat」などテンプレ英語＋短文が多い

• 実際の機能は、ブラウザ版ChatGPTへのラッパーか、オープンソースのGPT風チャットをくるんだだけ

本当に良いAIアプリであれば、日本のユーザーから具体的な使用感（翻訳に使った、企画書作成に役立った等）が日本語で書かれるはずですが、FleeceGPT系ではこれが極端に少ない、という指摘がセキュリティレポートにも見られます。

レビューを見るときは点数よりも、

• 日本語レビューの量と具体性

• 低評価レビューの内容（「解約できない」「サブスクが高すぎる」など）

• 評価の推移グラフ（直近だけ急に星5が増えていないか）

をセットで確認すると、怪しさが浮き彫りになります。

• 星5だけを数えるのはNG

• 言語・内容・タイミングを「パターン」として読む

• 低評価レビューは“炎上ログ”ではなく早期警報として扱う

IT相談窓口に寄せられる“よくある後悔メール”から見える心理パターン

IT相談窓口に届くメールを並べると、似たフレーズが何度も出てきます。

• 「App Storeで一番上に出てきたAIチャットをインストールしました」

• 「3日間無料と書いてあったので、深く考えずにOKを押しました」

• 「最近カード明細を見たら毎週2,000円ほど引かれていて驚きました」

ここから見えてくる心理パターンはシンプルです。

• ランキングと公式ストアへの過信

• 無料トライアル表示を「とりあえず押しても大丈夫なボタン」と思い込む習慣

• ChatGPTを早く活用したい焦りから、料金表示を細かく読まない

偽物アプリ対策は、「セキュリティ意識を劇的に高める」ことよりも、
この3つを自覚して行動ルールを1つ増やすだけで、かなりの部分が防げます。

• ランキング上位でも、開発元がOpenAIか必ず確認する

• 「週額表示のサブスク」は、一度立ち止まってから判断する

• カード明細を月1回はざっとチェックし、見覚えのないAI関連の請求がないか確認する

ストア側の審査やアルゴリズムに「完全な安心」を期待するのではなく、
ユーザー側が最低限のチェックポイントを持つことが、ChatGPTアプリ時代の新しい防御線になっています。

仕事・勉強・副業…用途別に見る「ブラウザ版かアプリ版か」の現実的な選び方

「とりあえず本物アプリは分かった。でもブラウザとアプリ、実際どっちでChatGPTを使えば失敗しないのか？」
現場でも真っ先に聞かれるポイントなので、用途別に一度“仕訳”してみます。

ブラウザ版とアプリ版は“どちらかを選ぶ”より、「場面ごとに使い分ける」のが安全かつ効率的です。

スマホヘビーユーザー向け：アプリ版を安全に使い倒すときの注意ポイント

スマホ中心で仕事も勉強も回している人は、公式ChatGPTアプリ＋最低限のセキュリティ設定が鉄板です。実務で確認するときは、以下だけは必ず押さえてもらいます。

• 開発元がOpenAIかどうか（ストアの「開発元」「提供元」を毎回確認）

• 無料インストール後、いきなり「週額・月額サブスク」がポップアップされないか

• アカウントのパスワード再利用をしない（他サービスと同じにしない）

• 2段階認証（2FA）をONにしておく（アカウント乗っ取り対策）

特に「無料トライアル」の表示は要注意です。Sophosが報告したFleeceGPT型アプリでは、無料お試しのつもりでタップした瞬間に、週数千円レベルのサブスクが発生していました。
公式ChatGPTは「アプリを入れただけで高額課金が自動で始まる」ことはありません。まず料金表示とプラン名を冷静に読むクセをつけてください。

PC作業中心の人向け：Web版・デスクトップ版を軸にしたほうがいい理由

資料作成やメール文面の下書きなど、PCでの業務時間が長い人はブラウザ版が主役になります。

• URLバーでhttps://chatgpt.comかどうかを毎回確認できる

• 会社のセキュリティソフトがブラウザ経由のリスクをある程度ブロックしてくれる

• 長文のコピペ・画像のドラッグ＆ドロップが圧倒的にやりやすい

デスクトップ版（公式のWindows/Macアプリ）を併用すれば、Alt＋スペースなどのショートカットですぐChatGPTを呼び出せるため、企画書や提案書の作成スピードが体感で1.5倍になるケースも多いです。
一方で、非公式の「AIチャット」「GPTライター」系PCアプリは、どのサーバーにデータが送られているか不明なものもあります。業務データや機密資料を扱うなら、OpenAI公式か、会社が許可したツール以外は使わないくらいがちょうどいいと感じます。

家族・同僚に教えるときに使える「これだけ押さえておけばOK」という説明テンプレ

「本物どれ？」と聞かれたとき、細かい技術の話をしても伝わりません。現場で反応がいいのは、3行テンプレです。

1. 「アプリは“ChatGPT”って名前で、開発元がOpenAIになってるやつだけ入れて」
2. 「パソコンから使うときは、ブラウザで“chatgpt.com”ってURLだけ覚えればOK」
3. 「“無料なのにカード登録を急かす”“週いくらの高いサブスク”が出たら一回閉じる」

この3つを共有しておくだけで、レビューや星の数にだまされてインストールする事故がかなり減ります。
ITリテラシーが高くない家族ほど、「星4.7でレビュー1万件だから大丈夫」と思い込みがちです。説明するときは、
「星や順位より、開発元の一行を見るクセを一緒につけよう」
とセットで伝えると、長期的に“騙されにくい目”を育てられます。

【実録風】LINE・メールでよくあるやり取りを再現：「これ、本物ですよね？」と聞かれたらどう答えるか

相談文に必ず出てくるフレーズと、それが示す“危険度レベル”

スマホを開くと、こんなLINEが届きがちです。

「チャットGPTのアプリ入れたいんですけど、このChat AI GPTって本物ですか？レビュー星4.7で日本語だし安心かなと思って…」

この一文だけで、現場の専門家は危険度をざっくり判定します。

危ないのは、「ストアの雰囲気」で信じかけている段階です。偽物アプリやFleeceGPT型の高額サブスクは、ここを正確に突いてきます。

回答側が必ず確認するスクショ・情報と、そこから何を読み取っているか

プロは、「アプリ名」より先に次の3点をスクショで求めます。

• ストア上部の開発元名（Developer / 提供元）

• 課金欄の価格表示・サブスク条件

• 下部のレビュー文の具体的な中身

ここから一気に次を見抜きます。

• 「OpenAI」「com.openai.chatgpt」なら公式ルートに近い

• 週単位課金や異常に高い月額があれば、FleeceGPT系リスク

• レビューが「すぐ課金画面」「解約が分からない」で埋まっていれば要警戒

逆に言うと、この3枚のスクショがあれば、ほぼ数秒で「本物か」「高額アプリか」を切り分けできます。

今後ずっと騙されないために、読者自身が持つべき“3つの判断軸”

毎回くり返し相談するより、「自分の中のルール」を1つ持っておく方が安全です。現場でITリテラシーを底上げするとき、必ず共有する軸はこの3つです。

1. 開発元ファーストの習慣

   • 最初に見るのはアプリ名ではなく開発元名
   • ChatGPTなら「OpenAI」以外は基本スルー

2. 料金の“単位”を見る癖

   • 月額か、週額か、年額かを必ず確認
   • 「週」「3日」を見たら一度深呼吸してから判断

3. レビュー文で“お金の話”だけ拾う

   • 星ではなく「課金」「解約」「高い」という単語を探す
   • お金関連の不満が多いアプリは、ビジネスモデルが危険信号

この3つを一度体に入れておけば、「チャットgpt アプリ どれが本物」という悩みは、ほぼ自力で片付けられます。問い合わせたくなったときは、上の3ポイントをスクショに乗せて送ると、回答側も一発で状況を読み解けます。

執筆者紹介

主要領域はChatGPTなど生成AIの安全利用解説です。本記事では、OpenAI公式情報やセキュリティベンダーの公開レポートを丁寧に読み込み、一般ユーザーが今日から実践できる「本物アプリの見分け方」と「入れてしまった後の対処フロー」を、画面レベルのチェックリストとして整理しました。IT専門職ではない人にも伝わる言葉選びと、過度に不安をあおらず冷静に判断軸だけを示す構成づくりを心がけています。